それでも、ご紹介やGoogle、SNSを通じて、この小さな店にご縁をいただき、足を運んでくださることに心から感謝しています。当店の料理は、全てヴィーガンです
。コンタミネーションにまで配慮しているため、海外のお客様にも安心して選んでいただいています。
当店の料理の要は、上質な昆布、きのこ、複数の野菜から丁寧に引いたヴィーガン和風出汁です
実は、長年の板前のキャリアから25年ほど前、マクロビオティックに感化され店を始めた頃は、極めてストイックな薄味を追求していました。
しかし、「誰もが一緒に美味しい食卓を囲んでほしい」という想いから、「もどきもの」を求めることは封印し、日本人の嗜好に合わせた味付けに徐々に切り替えていきました。
そして、当店の味を支えるもう一つの柱が、「素材の力」です。
数年前まで、私は山に畑を借りて、店で使う野菜を自ら育てていました。
自然豊かな場所での畑作業でしたが、熊やサルに遭遇することもあり、泣く泣く断念しました
今でも常連様が懐かしむのは、その畑で採れた60センチ近くの巨大なズッキーニを使った料理です
あの時のとろけるような濃厚な食感は、残念ながら、今市場に出回る淡いきゅうりのようなズッキーニでは再現できません。北欧では見かけるようですが日本では難しいようです。画像は、その頃の巨大なズッキーニと、それを使って創作した和洋折衷の料理の一例です。私は、手を加えすぎた調理技法を重んじる職人の料理とは異なる、素材の力を最大限に引き出す創作料理を目指しています。
まもなく暦もあと数枚。年の瀬に想いを馳せるとき、家族や大切な人たちと囲む食卓を彩るお料理にも、この「もどき物を極力使わない創作哲学」は、もちろん反映されています
。食の志向に左右されず、皆で箸を共にできることを願う思いは、全ての料理に共通しているからです。
様々なお客様にご利用いただいていることに、心から感謝しております。





